自分にとっては生家であり、亡くなった父方の祖父が住んでいた空き家がある。
崖の上に建っており、日あたり風通し眺めが良く、年に数度家の様子を見に行くたびにのんびりと滞在している。
その家の庭に次郎柿の木がある。物心ついたころにはすでに立派な木だったため、最低でも樹齢40年はありそうだ。
一昨年、祖父がもう樹を管理できない状態だったため業者に頼んで大きく枝を伐採した。
翌年はもちろん実が付かなかったが、今年はお盆の時点で盛大に実が付いており落ちる前に収穫をしないといけないなと思っていたのである。
崖に近いところに植わっているため、葉っぱや落ちた実が多少なりとも下に落ちてしまう。
崖下には道を挟んで、少々うるさいと知られた お宅があり、落ち葉などで迷惑をかけると くっそ面倒なうえ、隣の優しいおばあちゃんにも迷惑がかかると いけないので、収穫と落ち葉の掃除をしに行った。
あれ、実がほとんどなってないぞ?
柿は実が多くなりすぎた場合に自然と実が落ちる「生理落下」というものがある、ただ時期としては梅雨時と聞いていたので、前回確認したお盆時期にはすでに終わっているはず、病害虫なら周囲に実が落ちているはずだがそれも無し。
あれーー?と思っていると、隣家のおばあさんが居られたので挨拶。
「今朝、姪御さん(祖父の姪)が来られて収穫していったよ」
なんだってー。
祖父の件で非常にお世話になった叔母さんが柿が好きと言っていたので、「いつでも採っていってください」と、祖父の葬儀の時にそんな話をしたのだが、まさか俺が収穫しに来たその日の午前中に来ていたとは。
出かける前に「いっぱい柿採って帰るよー」と言っていたのでちょっとガッカリしてしまったが、採っていいと伝えてあったのだからしょうがない。
残った実のうち色づきのいいものを数個選らんで仏壇に供えつつ、落ち葉掃除や遺品の整理をしながら過ごした。
せっかく岡恒の剪定ばさみ買ったのになー! 冬に枝の剪定するまでお預けだっ